ノド鳴りと天気の関係について

 ノド鳴り喘鳴症)について気になったことがあったので、それをJRA競走馬総合研究所のほうにメールで質問してみたら、今日、その返事が届いた。質問したことを砕いて書くと、こんな感じ。


■『優駿』2004年10月号 「やさしい馬学 競走馬を悩ます病気――ノドの病気」*1


 この馬はノド鳴りだけれど、今日は雨が降っているから大丈夫……。
 実はこれ、大間違い。競走馬の呼吸器の病気に詳しい帆保誠二先生(JRA競走馬総合研究所栃木支所)によれば、「雨音のせいでノドの鳴る音が聴こえにくくなることはあっても、ノド鳴りの症状そのものが改善されるということは、まずありません。そもそもノド鳴りというのは、神経の麻痺などが原因の病気であって、湿度とは無関係」なんだそうだ。

(中略)

 また、この喉頭片麻痺の馬の競走成績を調べたところ、晴れでも雨でも成績は変わらないというデータが出たそうだ。これが「ノド鳴りと天気は関係なし」の根拠である。

■『優駿』2006年12月号 「杉本清の競馬談義 ゲスト上原博之調教師」


杉本 喘鳴症の馬は天気が悪い時のほうがいいと言いますが、やはりそうなんですか。

上原 諸説ありますが、自分の意見としては湿気があった方がいいと思います。弁を常に引っ張っていますので、粘膜が乾いているんです。人がずっと口を開けっ放しにしているのと一緒で、ちょっとでも湿気があった方が呼吸が楽ですから。


 やさしい馬学では「ノド鳴りと天気は関係ない」と書いてあるけど、ダイワメジャーを管理してる上原調教師は「ノド鳴りの手術をした馬は粘膜が乾くから、湿気があると呼吸が楽」だと言ってる。そこらへんどうなの?


 で、これについてJRA競走馬総合研究所から貰った返事はこんな感じ(メールの転載許可までは貰ってないので、大雑把な要約しかできませんが、あしからず)。


JRA競走馬総合研究所からの返事の要約


 一般的に言えば、手術をしていないノド鳴りの馬の場合、湿度によってその症状が軽くなることはないでしょう。けれども、手術をした後などで、傷や粘膜の状態によっては、湿度が高いほうが調子がいいことはあるかもしれません。

 ただし、傷や粘膜の状態はそれぞれの馬によって違ってきますから、全ての手術をしたノド鳴りの馬が「湿気がある日は調子がよくなる」と言うことはできません。


 えーと、つまり「手術をしていないノド鳴りの馬 → 雨は関係ない」で、「手術をしたノド鳴りの馬 → 雨が降ると調子がよくなるのもいるかもしんない」ということか。いや、これはいいことを聞いた。


 忙しいだろう中、丁寧な返事をくださったJRA競走馬総合研究所の方には本当に感謝。驚くほどに丁寧だったので、ちょっと感動しました。


追記:多少誤解を受けることもあるかと思ったので補足。上の質問内容は出したメールの内容を「読みやすいように砕いた」ものであり、出したときにはちゃんと丁寧に書きましたよ。いや、ほんとに。

*1:この記事は、こちらでも読めます。Web上に、日本語でのこれ以上詳しくて分かりやすいノド鳴りについての説明は無いと思われ。